最新情報
COPD治療薬(ビレーズトリエアロスフィア)120吸入(新吸入デバイス)発売のお知らせ
2022.06.06
ビレーズトリ®エアロスフィア®120吸入(ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物の3成分配合、アストラゼネカ社)の従来の56吸入製剤に、新たに120吸入製剤が、新しい吸入デバイス(外観変更)で本日発売されました。残りの噴霧回数が見やすくなり、誤噴射防止機能が付いています。
また2剤配合薬(グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物)の「ビベスピ®エアロスフィア®120吸入」も同時に発売されました。
COPD吸入薬のまとめ を更新しました。
(New) 難治性の慢性咳嗽の治療薬ー選択的P2X3受容体拮抗薬 リフヌア錠―が発売されました
2022.05.25
「難治性の慢性咳嗽」の治療薬として、世界初の選択的P2X3受容体拮抗薬であるリフヌアⓇ錠(ゲーファピキサントクエン酸塩;)が薬価収載され発売(杏林製薬・MSD)されました。
慢性咳嗽は、8週間以上続く咳で、その有病率は世界各国において2〜10%と推定されています。この中には、原因疾患(気管支喘息、胃食道逆流症など)を治療しても改善の認められない難治性の慢性咳嗽や、詳細な検査でも原因が特定できない原因不明の慢性咳嗽などがあります。今までに、難治性または原因不明の慢性咳嗽を効能又は効果として承認されている治療薬はありませんでした。
P2X3受容体は、気道の迷走神経のC-fiber ending上に発現しているATP(アデノシン三リン酸)受容体です。気道炎症により粘膜細胞から放出されたATPが、P2X3受容体と結合→侵襲シグナルとして感知され、咳嗽が起こることがあります。
リフヌアⓇ錠は、細胞外ATPとP2X3受容体の結合をブロックすることにより、C-fiberの活性化を抑え、咳嗽が抑制されると考えられています。
私が医師となり喘息の臨床・研究を始めた35年前頃から、気管支喘息の病態における神経原性炎症の重要性は言われ続けています。気道に分布する自律神経は、交感神経・副交感神経の他にNANC (non-adrenergic non-cholinergic) 神経があります。NANCの伝達物質は、副交感神経(迷走神経)求心路にあたる知覚神経C-fiberに存在するタキキニン(サブスタンスP、ニューロキニンAなど)で、気道上皮の損傷により露出したC-fiberからの刺激で、軸索反射 (axon reflex)を介して逆行性に放出され、気道収縮・気道炎症を増悪させます。気管支喘息との関連では、P.J.BarnesのAsthma as an axon reflex (Lancet:1986 Feb 1)の論文が有名でした。
C-fiber endingを介した咳嗽は、おそらく気管がイガイガ・痒くなって咳が止らなくなるといった通常よくありうる咳嗽(irritant cough)で、今まで直接治療する薬剤はなく、鎮咳薬や漢方薬なども併用しても治療に苦労していました。DSCG(インタール)にはC-fiber endingのmasking作用が期待できるという説があり、大学時代に難治性喘息や重積発作で人工呼吸を施行中の患者さんに、最後の治療手段の一つとしてインタール吸入を併用したことを思い出します。
味覚障害などの副反応もありますが、「難治性の慢性咳嗽」の治療薬の選択肢が増え、期待したいと思います。
「テリルジー」が気管支喘息で適応追加、製造販売承認されました
2020.12.02
(11月27日) COPDのみの適応だった「テリルジー100エリプタ14吸入用」・「テリルジー100エリプタ 30吸入用」(一般名:フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩、FF/UMEC/VI)が、成人気管支喘息に対して適応追加されました。また「テリルジー200エリプタ14吸入用」、「テリルジー200エリプタ30吸入用」が、新たに製造販売承認を取得しました。
3成分(ICS/LABA/LAMA)を1日1回で吸入し、「エナジア」に続いて2剤目、こちらは長期投与が可能です。
喘息(100・200)とCOPD(100)の適応があるのは国内初です。
気管支喘息の長期管理薬(吸入薬)のまとめを最新版にしました。
気管支喘息治療薬(エナジア・アテキュラ)発売のお知らせ
2020.08.26
喘息治療薬では世界初の3成分を配合した喘息治療薬「エナジアTM吸入用カプセル中用量・高用量」と2成分配合の「アテキュラ®吸入用カプセル低容量・中用量・高容量」(ノバルティスファーマ社)が本日薬価収載され発売されました。
詳細は、下記(2019.7.2)をご参照ください。
喘息治療配合剤「フルティフォーム50 エアゾール」が小児に適応追加されました
2020.07.02
ICS/LABA配合剤であるフルティフォーム®50 エアゾール 56 吸入用・120 吸入用(杏林製薬社)の小児適応が6月29日に追加されました。
ICS(吸入ステロイド薬:フルチカゾンプロピオン酸エステル)+LABA(長時間作用型 β2 刺激薬:ホルモテロー ルフマル酸塩水和物)をpMDI(加圧噴霧式定量吸入器)で通常、1日200μg(朝・夕に2回)吸入します。
新しい気管支喘息治療薬「エナジア」「アテキュラ」が製造販売承認されました
2020.07.02
喘息治療薬では世界初の3成分を配合した喘息治療薬「エナジアTM吸入用カプセル中用量・高用量」と2成分配合の「アテキュラ®吸入用カプセル低容量・中用量・高容量」(ノバルティスファーマ社)が6月29日に製造承認されました。
エナジアはICS/LAMA/LABA(吸入ステロイド/長時間作用性抗コリン薬/長時間作用性β刺激薬)のモメタゾンフランカルボン酸エステル80μg (中) or 160μg (高)/グリコピロニウム臭化物50μg/インダカテロール150μgの3成分を配合したDPI(ドライパウダー)製剤で、ブリーズヘラーというディバイスを使って1日1回吸入します。アテキュラはICS/LABA(モメタゾンフランカルボン酸エステル80μg (中) or 160μg (中) or 320μg (高)/インダカテロール150μgの2成分を配合したブリーズヘラー製剤で1日1回吸入します
エナジアはステップ3以上の喘息患者さんが適応で、3成分を1回で同時に吸入できます。
発売は8月末の予定で、1年間は2週間処方となります。
喘息吸入薬のまとめを最新版にしました。
COPD治療薬(ビレーズトリ・ビベスピ)発売のお知らせ
2019.9.4
ビレーズトリエアロスフィア® 56吸入(3成分配合COPD治療薬、アストラゼネカ社)およびビベスピエアロスフィア® 28吸入(2成分配合COPD治療薬、同社)が、本日薬価収載され発売されました。下記(2019.6.20)でご紹介した様に、ICS/LAMA/LABAの3成分かLAMA/LABAの2成分かを同時に吸入できます。COPDの薬物療法の中心は気管支拡張薬ですが、COPDに喘息が合併するACO (asthma and COPD overlap)の患者さんにはICSの併用を検討します。エアゾール製剤のため、吸入速度の遅い患者さんにも有効と考えられます。新薬のため1年間は2週間処方です。
COPD吸入薬のまとめ
COPD治療薬「ビレーズトリ」「ビベスピ」が製造販売承認されました
2019.6.20
3成分を配合したCOPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬「ビレーズトリエアロスフィア® 56吸入・120吸入」(アストラゼネカ社)が6月19日に製造販売承認されました。
ICS/LAMA/LABA(吸入ステロイド/長時間作用性抗コリン薬/長時間作用性β刺激薬)のブデソニド320μg/グリコピロニウム臭化物14.4μg/ホルモテロールフマル酸9.6μgの3成分を配合したエアゾール製剤で、1日2回吸入します。
吸入デバイスは、エアロスフィア・デリバリー・テクノロジーという世界初の薬剤送達技術を搭載した加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)で、今回、世界に先駆けて日本で承認されました。中等症から最重症のCOPD、特にCOPDに喘息が合併するACO (asthma and COPD overlap)の患者さんが適応となります。
先行発売されているテリルジー100エリブタ(グラクソ・スミスクライン®)はDPI(ドライパウダー製剤)ですが、今回のエアゾール製剤の登場により、吸気力の弱い患者さんでも吸入しやすいと思われ、治療の選択肢が広がります。
発売は8月下旬頃の予定で、1年間は2週間処方(56吸入のみ)となります。
またLAMA/LABAの2成分を配合した「ビベスピエアロスフィア® 28吸入・120吸入」(アストラゼネカ社)も同時に、日本でも承認されました。
グリコピロニウム臭化物9.0μg/ホルモテロールフマル酸5.0μg)の2成分配合の吸入エアゾール剤で、1日2回吸入します。先に28吸入(1週間分)が発売される予定です。
COPD吸入薬のまとめを最新版にしました。
COPD治療薬(テリルジーエリプタ)発売のお知らせ
2019.05.22
テリルジー®(3成分配合COPD治療薬、グラクソ・スミスクライン社)が、本日薬価収載され発売されました。下記(2019.3.27)でご紹介した様に、ICS/LAMA/LABAの3成分を同時に吸入できます。COPDの薬物療法の中心は気管支拡張薬ですが、COPDに喘息が合併するACO (asthma and COPD overlap)の患者さんは、15〜20%程度と想定されています。この場合はICSを併用するため、コンプライアンス(3剤同時・1日1回)や薬価の点でも有用な薬剤と考えます。例外的な取扱いにより、14日以上の長期処方が可能です。
ACO診断基準における喘息の特徴
1. 変動性(日内・日々・季節)あるいは発作性の呼吸器症状(咳・痰・呼吸困難)
2. 40歳以前の喘息の既往
3. FeNO>35ppb
4-1)通年性アレルギー性鼻炎の合併
-2)気道可逆性(1秒量≧12%かつ≧200mLの変化)
-3)末梢血好酸球数>5%あるいは>300μL
-4)IgE高値(総IgEあるいは吸入抗原)
1,2,3の2項目 あるいは
1,2,3のいづれか1項目と4の2項目以上
(COPD 診断と治療のためのガイドライン第5版2018より)
デュピクセント:気管支喘息に対しての適応追加が承認されました
2019.04.03
デュピクセント®(一般名デュビルマブ(遺伝子組換え):ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体製剤、サノフィ社)が、重症・難治性の気管支喘息に対して適応追加承認されました。すでに重症アトピー性皮膚炎に対して使用されていますが下記(2018.4.18)でご紹介した様に、アレルギー性慢性炎症の病態において両者の共通する点は多く、Th2サイトカインであるIL-4/IL-13のシグナル伝達を阻害することにより、新たな治療効果が期待されます。
COPD治療薬「テリルジーエリプタ」が製造販売承認されました
2019.03.27
3剤を配合したCOPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬「テリルジー100エリブタ」(グラクソ・スミスクライン)が3月26日に製造販売承認されました。
ICS/LAMA/LABA(吸入ステロイド/長時間作用性抗コリン薬/長時間作用性β刺激薬)のフルチカゾンフランカルボン酸エステル100μg/ウメクリジニウム臭化物62.5μg/ビランテロールトリフェニル酢酸塩25μg:FF/UMEC/VI)の3成分を1日1回で吸入できます。
レルベア(ICS/LABA)にLAMAを追加投与する場合、アノーロ(LABA/LAMA)にICSを追加投与する場合、またはすでに別々に吸入中の場合などで、中等症以上のCOPDの方が1剤で吸入できるメリットがあります。販売は5月末頃の予定です。
また6月頃に、他社からエアーによるCOPDに対する3剤配合薬も登場する予定です。
COPD吸入薬のまとめを最新版にしました。
抗IL-5受容体α鎖抗体(ファセンラ:一般名 ベンラリズマブ)のご紹介
2018.04.18
抗IL-5受容体α鎖抗体(ファセンラ®:一般名ベンラリズマブ、アストラゼネカ社)が、本日薬価基準収載・発売されました。ヌーカラに続く、気管支喘息の新しい分子標的薬です。下記(2017.10.18)でご紹介した様に、IL-5受容体に直接結合し、IL-5の好酸球への結合を阻止します。加えてADCC(抗体依存性細胞障害)活性によるアポトーシスにより、好酸球を直接除外する作用があります。これらにより、気道の好酸球をほぼ完全に除去することが期待されます。初回、4週後、8週後、以降8週間間隔で皮下注射します。ヌーカラよりもさらに高価な薬ですが、高用量の吸入ステロイド薬を含め、種々の長期管理薬を使用してもコントロール不良の重症喘息患者さんに、新しい有効な薬剤となることを期待します。
抗IL-4/IL-13モノクローナル抗体(デュピクセント:一般名 デュビルマブ(遺伝子組換え)のご紹介(アトピー性皮膚炎)
2018.04.18
ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体(デュピクセント®:一般名デュビルマブ(遺伝子組換え)、サノフィ社)が本日薬価基準収載されました(23日発売予定)。既存治療で効果不十分な重症アトピー性皮膚炎の新規治療薬として製造販売承認されています(2018.1.19)。下記(2017.10.18)でご紹介した様に、IL-4とIL-13の共通なセレプター構成成分であるIL-4受容体のαサブユニットに対するモノクローナル抗体で、アレルギー性慢性炎症において重要な役割を持つTh2サイトカインであるIL-4/IL-13のシグナル伝達を阻害します。なお、3月30日にコントロール不良の気管支喘息に対して追加申請されており、参考までに本稿にてご紹介しました。
★気管支喘息の長期管理薬(吸入薬)・COPD吸入薬のまとめ【吸入方法の説明・動画のご紹介】を更新しました
2017.08.25
アニュイティ(気管支喘息)とレルベア100(COPD)を追加し
種々ディバイスによる気管支喘息の長期管理薬(吸入薬)のまとめ、
種々ディバイスによるCOPDの吸入薬のまとめ を更新しました。(テリルジーを追加 2019.3.27)
吸入薬は、少量(内服薬の100分の1以下)の薬剤を、口から直接吸入し、効果を発揮します。しかし飲み薬と違って、しっかり吸入できないと十分な効果が得られないという難点もあります。従来から喘息治療の専門施設では、単に薬剤を処方するだけではなく、患者さんへの吸入指導に力を入れてきました。当院でも診察時に、実物やパンフレットを使って、初めての処方時は必ず、またその後も随時、正しく吸入できているかを医師が確認していますが、限られた診察時間の中では十分とは言えません。
吸入方法の説明・動画のお勧めのサイトを薬剤ごとに検索してみました。表中の薬剤名をクリックするとリンクします。患者さん向けのサイトで、検索できた薬剤のみのご紹介ですが、吸入方法の理解の参考になれば幸いです。
☆「吸入レッスン」サイト(外部サイト)のご紹介
ほとんどすべての吸入薬の使い方が、動画でまとめられているサイトです。正しい吸入方法の理解のため、リンクさせていただきました。ご参照ください。
新しい吸入ステロイド薬 アニュイティのご紹介
2017.06.17
1日1回の吸入ステロイド薬(ICS)のアニュイティエリプタ®(グラクソ・スミスクライン社)が本日発売されました。レルベアのICS成分であるフルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)を、同じディバイス(エリブタ)で1日1回で吸入する、本邦4番目のDPI(dry powder inhaler)製剤です。気管支喘息のみの適応で、100㎍と200㎍の2用量あり、レルベアからLABA offのstep downやstage 1のICS単独療法として使用します。
気管支喘息の吸入薬のまとめのコーナーにも追加掲載しましたので、ご参照ください。
レルベア100エリプタのCOPDに対する適応が追加されました
2016.12.06
気管支喘息で使用されている「レルベア100エリプタ®」(吸入ステロイド薬とLABAの合剤)に、「COPD(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解」の効能・効果が追加承認されました。200エリプタは気管支喘息のみの適応です。